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ただ無心に、踊りはじめたころ

Posted by ミツコ (MITSUKO) on 29.2010 2 comments 0 trackback


Anything which binds,
which cramps the soul,
which prevents it
from having full expression,
must be swept away.


  "TEACHING OF SILVER BIRCH" (p91)
   edited by A.W.Austen/
   The Spiritual Truth Press


 魂を 縛りつけるもの 
 魂に 足かせをはめるもの

 魂が 輝き ほとばしろうとするのを
 阻むものは すべて 捨て去らねばならない


       【translated by ミツコ】


*******************************



『ただ無心に、踊りはじめたころ』



まだ家人 寝静まる早朝に
ひとり家を抜け出し
近くの河川敷まで歩く。


何がそんなに
心地よいのか


無心になる

それは何かの
夢心地に似ていた。


ただ 無心に
踊り始めたころ

とうに忘れかけていた
記憶の断片が
わたしの胸に蘇り

命の息吹を
いまいちど ほとばしらせたのだ。



*****



最近では テレビのインタビュー番組などにも 
フツウに登場する
バリバリで 才能豊かな天才ダンサーの方々とは違って、

わたしは一般庶民型のペーペー、
コールド専門のバレエダンサーだったが、

8歳のころから25年間ほど、
ずっと踊っていた時期があった。


渡米留学したのも、
バレエをもっと勉強したかったから。

「踊りで食べていける」チャンスのある土壌、
懐の深いアメリカという国で

自分を精一杯
試してみたいと思ったからだった。


バレエを習いだしたのは、
小学校2年生のころで、

3歳から習い始める子ども達も多い中で、
わたしは遅いぐらいだった。


当時「赤い靴」という、
バレエを題材にしたテレビ・ドラマが流行っており、
わたしはその番組が大好きだった。


小学校1年生のころには
学校から帰ってくると、

白い上履きをトウシューズに見たて、
コンクリートのテラスの上で、
隣家の女の子と、つま先だって
毎日バレエのお稽古ごっこを楽しんでいた。


そんななか、母の知人宅で、
モダンバレエの先生が教室をひらくことになった。

最初、生徒はその家の女の子とわたしだけ。

クリスマスも近い
ある12月の晩に
わたしはその家の
洋間の片隅で 踊り始めた。


やがて生徒も増えて、1年ほどしたころ、
先生が赤ちゃんを産むというニュースが伝わった。

みんな熱心に通っていたので、
お稽古場を閉めるのは
もったいないということになり、

その先生が、近隣地域に、
いくつもお稽古場をもつ
クラシックバレエの先生をさがしてくださり、
お稽古はその先生にバトンタッチされた。

そして、わたしは、ますます踊りに
のめりこんでいき、バレエのお稽古は
何ものにも代えられない喜びとなった。



小学校3年生の7月に父が急死する。

まだ大きなショックに打ちひしがれているなかで、
29歳だった母は、わたしと3歳違いの幼い妹をかかえ、
必死に生きていかねばならなかった。

母は、結婚前に務めていた職場にもどり、
事務経理の仕事を男性並みに夜遅くまでバリバリとこなし、

週末はダスキンの配布交換スタッフとして
自転車で地域の家庭をまわり、
休む間もなく働いていた。



そして、ある日
わたしは母に呼ばれた。


当時、バレエの他に珠算と習字を習っていたのだが、
珠算や習字は、なにかの役に立つかもしれない、
でもバレエはそうじゃないから、

お父さんも死んで
お母さんひとりで働かなければならなくなって
家計がすごく苦しい、

だから悪いけれど、
バレエはやめてくれないか、

そう母は済まなそうに告げた。



「うん」



母の大変さを
よく知っていたわたしは、

そんなこと何でもないように、
素直にうなづいた。


子ども部屋の六畳間にもどると、
わたしは頭から蒲団をかぶった。


そんなこと、
なんともないはずなのに、

目のふちいっぱいに
涙が盛り上がってきて、

後から後から、
涙がボロボロ出てきた。



しばらくして、
心配した母が
わたしを見に来た。


声をあげないで、
ただボロボロぼろぼろ……

泣いている娘の姿を
哀れに思ったのかもしれない。



母は、ベッドの枕元に
しばらく無言で腰掛けていたが、

とつぜん意を決したかのように、


「わかった……」
「お母さん、その分がんばって働くから」
「だから一生懸命やりなさい」

そう言って部屋を出て行った。




その後、中学後半からは
わたしはバレエ一本に絞り、
毎日のように、厳しい稽古をうけ、

日曜日は、静岡から東京へ
稽古に通うようになった。


高校時代は、午後の授業は早退し、
東京のバレエ学校へ、週4、5回通い、
試験勉強は、各駅停車の東海道線の中で行い、
帰りは毎晩、最終の東名バスで帰ってくるような
日々を繰り返すようになった。


母は嫌な顔もせず、
バス停からの夜遅い道を歩く娘を気遣って
妹といっしょに、大きな懐中電灯をもって
迎えに来てくれた。


まさか、そのころ母は、
わたしが渡米するとは
思ってもみなかったことだろう。



踊ることイコール
自分の人生のすべてだと思いこんでいた
蒼く淡い時代もあった。


ただただ、無心になって踊っていた、
遠いむかしの、わたしの記憶の断片だ。




今は まったく踊りから
離れてしまった自分がここにいる。



否、わたしは 踊ることを
止めたわけではなかった。



自らを外に向かって
解き放ち 表現しつづけること――


それは 私にとって 
踊ることと 同義だった。




MITSUKO



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Category : Myself (自己)

Sands of Stars Twinkle Down from the Galaxy (銀河から星の砂が煌めき降りそそぐ晩に)

Posted by ミツコ (MITSUKO) on 01.2010 8 comments 0 trackback

Sands of Stars Twinkle Down from the Galaxy



From the bottom of my ears,
I feel like my world is expanding
toward this big screen of the universe.

Under the clear winter night sky
with millions of luminous stars,

I travel in a small sailboat
tracing the horizon of the round earth,

in full sail
with the wind at my back.


Early sailors with no sea chart,
no compass, not even GPS,
did not deviate from their paths
but headed for their new lands
navigated by the stars.


Not even landmarks guide me,
instead, there is just a boundless expanse of sea.

When I look up, there drawn is
a vast map of the universe.

The three stars, Orion's Belt,
are navigating my voyage for now.



When I put my hands on my ears,
they become just like headphones.

I can hear those sands of stars
which fill the night sky twinkle down,
and the chatter of the gods of the stars.


They know all about the ancient people
who crossed the sea for their lives
and embraced the unknown wholeheartedly.


They know all about my distant memory,
the wish I once made upon a star,
and the tune sang by a strange cricket
that appeared in my dream.



One past, frozen winter night,
alone on my way back home
from visiting one dear to me on his deathbed,

the lights I saw in the window
of someone's home were so warm.

The backyard lit up with snow
still decorated with lights
made me feel solemn,

and reminded me that
the long and rigid winter would be over,
so I should be ready for the coming bright new year.



The wish I once made
was not granted at that time,

but now I come to know
the very same gods of stars,
who exist among the stars
under the roof of heaven
have been navigating my voyage,

embracing me in their bosoms
with unchanging quietness
and warmth of lights.



Here, my own special star
exists in my heart,
called the will,

always blinking, twinkling and
ready to shine even more.


I put a hand to my bosom and feel it.
and then, connect it to the gods of the stars
under the roof of heaven.


No aspiration is too huge to project
onto this big screen of the universe.



I travel in a small sailboat
tracing the horizon of the round earth.


On the night when the sands of stars
twinkle down from the galaxy,
I hear the chatter of the gods of those stars.


A bright brand new year has just begun.




MITSUKO




******************************

(Japanese)


『銀河から星の砂が煌めき降りそそぐ晩に』



耳元からわたしの世界が 
この宇宙の大スクリーンに
拡がりゆくように


澄みきった冬の
星空のもとを


船は丸い地球の水平線を
なぞるように進んでゆく


志いっぱいに広げた帆に
追い風を受けて




かつて 
海図もない時代の
船乗りたちは


羅針盤や
なんの計器も
なくとも


航路を誤ることはなく

天空の星を頼りに
目指す天地へと
向かったという




目印のない
大海原に
あっても


見上げれば
そこには 


広大な宇宙の地図が
記されており


いまは
オリオンの三つ星が
我が航路を
見守ってくれていた



耳元に
手をあてると


それはまるで
ヘッドフォーンのようになり


夜空に敷きつめられた
星の砂が煌めき
降りそそいでくる音と

神々のお喋りが
聞こえてきた




彼らは

かつて 命懸けで海を渡り
新たな天地を目指し
未知なるものを受け入れた
古(いにしえ)の人々のことも
知っていた


彼らは

かつて わたしが
星にかけた願いも

夢にあらわれた
見知らぬ こおろぎが 
歌う遠い調べも
すべて知っていた




通り過ぎていった
冬の凍てつく晩に


君やがて
最後の時を迎えようとする
館(やかた)を見舞う帰り道
窓からもれる他家の灯りは 
暖かだった



夜半 雪残る庭に
まだ飾られていた 
光の粒たちが厳かに輝き

長く厳しい冬が終わり、
暖かい季節が
到来することを
告げていた


また来たる
新たな年を 
迎える心づもりを
うながしていた



星にかけた願いは
あるとき叶わなかった



しかし
天空の星の神々は 
この長い年月のあいだ

変わらぬ煌めきと温もりをもって
常にわたしを懐に抱(いだ)き
航路を導いてくれていたことを
いまは知る




意志という
わたしの胸の内に
与えられた 


常に光放ち
瞬き煌めく星に
手のひらをあてて 


天空の星の神々と繋がる


この広大な
宇宙のスクリーンに


投げかけるに 
大きすぎる志など
決してない



船は丸い地球の水平線を
なぞるように
どこまでも進んでゆく



銀河から
星の砂が煌めき
降りそそぐ晩に
天空の神々の声を聞く



今 新たな年が
また 明けゆくと




MITSUKO



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Category : Stars (星)
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